Tarte au sucre — 北フランスの発酵生地シュガータルト
北フランスのTarte au sucreは、名前だけを見ると誤解しやすい。シロップ状のカスタードを詰めるカナダ式のsugar pieではなく、卵とバターを加えた発酵生地を低く丸く焼き、表面に砂糖とバターを集中させる菓子である。生地は浅いブリオッシュのように軽く、フィリングを別層として詰めない。
トッピングの地域性を支えるのがブロンド・ヴェルジョワーズ(vergeoise blonde)である。やわらかな甜菜糖が指で付けた浅いくぼみにバターとともに溶け込み、表面にキャラメル状の甘い部分を作る一方、内部のクラムは軽さを保つ。クリームは最初から入れず、本焼き後に注いで8分だけ再び焼くことで、厚いカスタード層ではなく砂糖とバターのくぼみに染み込ませる。
2回の発酵は省けない。最初の60分で生地にガスと骨格を作り、型へ広げる際に一部抜けたガスを、2回目の60分で戻す。くぼみを付けるときも強く押しつぶさず、表面のふくらみを残す。焼成後20分冷ますと、トッピングが流れにくくなり、内部はまだやわらかく温かい状態で食べられる。


