ウェルシュ・コンプレ — ハムと卵をのせる北フランスのチェダー・ビールトースト
ウェルシュ・コンプレは、フランス北部、とりわけノール県やパ・ド・カレー県のブラッスリー、エスタミネに根付いた料理です。背景には英国・ウェールズのチーズトースト系料理がありますが、北フランスでは厚切りパン、加熱済みハム、ビールとマスタードで溶かしたチェダー、そして上にのせる卵という構成が明確に定着しています。卵を省くとより簡素なウェルシュになり、「コンプレ」と呼ぶ形から外れます。
技術上の中心は上火で焼く工程ではなく、チェダーとビールのソースです。熟成チェダーは、計量したビールを弱火〜弱めの中火で温め、4回に分けて少しずつ溶かします。強く沸騰させると脂肪が分離し、チーズが油っぽく弾力のある塊になりやすくなります。仕上がりはつやがあり、へらを厚く覆う程度に濃い一方、ハムとトーストへ流しかけられる柔らかさを残します。
1人用の耐熱グラタン皿を4枚使うと、溶けたチーズを受け止めたままブラッスリーらしく提供できます。ここでは黄身をやわらかく残すため、殺菌済みの殻付き卵を使用します。殺菌済み卵がない場合は、黄身が固くなることを受け入れ、卵の中心が71℃に達するまで加熱します。やわらかな黄身を、未殺菌卵の半生状態に頼って作らないことが重要です。
ビールはソースの風味と水分の両方を担いますが、短時間の加熱でアルコールが完全になくなるとは言えません。鍋で溶かす時間と上火で焼く時間は短く、完成品にはビール由来のアルコールが残る可能性があります。パンとビールから小麦・大麦のグルテンを含み、ディジョンマスタードにはマスタードと亜硫酸塩が含まれます。


