フランス料理のレシピ

ウェルシュ・コンプレ(Welsh complet)

北フランスのブラッスリーやエスタミネで親しまれるウェルシュ・コンプレ。厚切りパンと加熱済みハムに、チェダー、ビール、ディジョンマスタードで作る熱いチーズソースをかけ、上火で短時間焼き、最後に目玉焼きをのせる。卵が加わることで「コンプレ」と呼ばれる形になり、単なるウェルシュ・レアビットとは異なる北フランスの一皿として仕上がる。

フランス料理のレシピ
共有
ウェルシュ・コンプレ(Welsh complet):器に盛り付けた一品
準備時間 15分
加熱時間 25分
合計時間 40分
出来上がり量 直径16〜18cmの耐熱皿4皿分。1皿約300g
料理の特徴

ウェルシュ・コンプレ — ハムと卵をのせる北フランスのチェダー・ビールトースト

ウェルシュ・コンプレは、フランス北部、とりわけノール県やパ・ド・カレー県のブラッスリー、エスタミネに根付いた料理です。背景には英国・ウェールズのチーズトースト系料理がありますが、北フランスでは厚切りパン、加熱済みハム、ビールとマスタードで溶かしたチェダー、そして上にのせる卵という構成が明確に定着しています。卵を省くとより簡素なウェルシュになり、「コンプレ」と呼ぶ形から外れます。

技術上の中心は上火で焼く工程ではなく、チェダーとビールのソースです。熟成チェダーは、計量したビールを弱火〜弱めの中火で温め、4回に分けて少しずつ溶かします。強く沸騰させると脂肪が分離し、チーズが油っぽく弾力のある塊になりやすくなります。仕上がりはつやがあり、へらを厚く覆う程度に濃い一方、ハムとトーストへ流しかけられる柔らかさを残します。

1人用の耐熱グラタン皿を4枚使うと、溶けたチーズを受け止めたままブラッスリーらしく提供できます。ここでは黄身をやわらかく残すため、殺菌済みの殻付き卵を使用します。殺菌済み卵がない場合は、黄身が固くなることを受け入れ、卵の中心が71℃に達するまで加熱します。やわらかな黄身を、未殺菌卵の半生状態に頼って作らないことが重要です。

ビールはソースの風味と水分の両方を担いますが、短時間の加熱でアルコールが完全になくなるとは言えません。鍋で溶かす時間と上火で焼く時間は短く、完成品にはビール由来のアルコールが残る可能性があります。パンとビールから小麦・大麦のグルテンを含み、ディジョンマスタードにはマスタードと亜硫酸塩が含まれます。

成功のポイント

成功のポイント

  • パンは組み立てる前に軽くトーストし、熱いソースをかけてもすぐ崩れない表面にする。
  • 熟成チェダーは弱い火で少しずつ加え、ソースを強く沸騰させない。
  • 上火では表面がふつふつし、薄い焼き色が付くまでの短時間にとどめる。
  • 黄身をやわらかく残す場合は殺菌済み卵を使い、未殺菌卵では中心温度71℃まで加熱する。
材料

材料

  • 240g カンパーニュ系のパン。約60gの厚切り4枚
  • 200g 加熱済みハム。約50gの薄切り4枚、冷蔵
  • 400g 熟成チェダー。粗くおろし、冷蔵
  • 160ml ブロンドまたはアンバーのビール。アルコール分約5%
  • 30g 亜硫酸塩を含むディジョンマスタード
  • 240g 殺菌済みの大きめ殻付き卵。約60gを4個、冷蔵
  • 10g 無塩バター。卵を焼くために使う
  • 1g 黒こしょう(粉末)
作り方

作り方

作り方

  1. 上火を予熱し、皿を準備する。オーブンの上火またはグリル機能を強にし、約3分しっかり予熱する。直径16〜18cmの安定した耐熱グラタン皿4枚を縁付き天板に並べる。ハム、チェダー、卵は使うまで冷蔵する。上火が十分に熱くなり、皿が天板の上で傾かず安定していることを確認する。

  2. パンをトーストして土台を作る。60gのパン4枚を約2分、表面が乾いて薄く色付くまでトーストする。各耐熱皿にパンを1枚ずつ置き、50gのハムを1枚ずつのせる。パンは軽く焼き色が付き、ハムとソースを受け止めてもすぐ崩れない固さを保つ。

  3. チェダーとビールのソースを作る。厚手の鍋に160mlのビールを入れ、弱火〜弱めの中火で温める。400gのチェダーを4回に分け、絶えず混ぜながら約8分かけて溶かす。前の分が溶けてから次を加える。30gのディジョンマスタードと1gの黒こしょうを混ぜる。ソースはなめらかでつやがあり、へらを覆う濃さがあって、分離した油がたまっていない状態にする。

  4. 上火で短く焼く。熱いチェダー・ビールソースを4皿に均等に分け、ハムとパンの大部分を覆う。強い上火で約5分焼く。縁がふつふつと泡立ち、表面に薄いきつね色の点が付き、中心は流動性を保っている状態にする。皿と溶けたチーズは非常に熱いため、天板は乾いたオーブンミトンで動かす。

  5. 卵を焼く。ウェルシュを上火で焼いている間に、ノンスティックフライパンへ10gの無塩バターを入れ、弱めの中火で溶かす。殺菌済み卵4個を約4分焼く。白身は完全に白く固まり、殺菌済みの黄身は温まりながらやわらかさを残す。未殺菌卵を使う場合は加熱を続け、提供前に中心が71℃に達したことを確認する。

  6. 卵をのせてすぐ提供する。上火で焼いた各ウェルシュに目玉焼きを1個ずつのせ、耐熱の受け皿に置いてすぐ食卓へ出す。各皿は、チェダーに覆われたハムとトーストの中央に卵が1個のっている状態にする。チーズと皿の縁はやけどするほど熱いので、提供時に注意を促す。

盛り付け

実用情報

盛り付け

卵をのせたら、1人用の耐熱皿のまますぐ提供する。ソースが流動性とつやを保ち、ハムの下のトーストにもある程度の形が残っている間が食べ頃。北フランスのブラッスリーではフライドポテトを添えることが多いが、この分量と栄養計算には含めない。

保存と温め直し

ウェルシュ・コンプレは作りたてが明らかに適している。残った場合は2時間以内に4℃以下で冷蔵し、3〜4日以内に食べる。耐熱皿にのせ、中心が74℃に達するまで温め直す。再加熱すると黄身は固くなり、チーズソースから脂肪が少し分離する可能性がある。パン、卵、チーズソースはいずれも解凍後に食感が落ちるため、冷凍は勧めない。

作り置き

チェダーをおろし、ハムを1人分ずつ分け、ビールとマスタードを量るところまでは1日前に準備できる。傷みやすい材料は冷蔵する。チーズソースは冷やして再加熱すると分離しやすいため、前もって作らない。ソースを注いだらすぐ上火で焼き、その間に卵を焼いて仕上げる。

代用

殺菌済みの殻付き卵が入手できない場合は通常の新鮮な卵を使えるが、卵の中心を71℃まで加熱する。その場合、黄身は固くなるがウェルシュ・コンプレとしての構成は保たれる。熟成度の低いチェダーでも作れるが、味は穏やかになり、ソースのなめらかさも少し弱くなることがある。同じ弱火の方法を守り、ハムとチーズの塩分が高いため追加の塩は加えない。

うまくいかないとき

うまくいかないとき

  • チーズソースが油っぽく分離した。チェダーを熱しすぎたか、一度に多く加えた可能性が高い。鍋を火から下ろしてやさしく混ぜる。次回は火を弱め、ビールとチーズが沸騰する前にチーズを数回に分けて加える。
  • パンがすぐにべたつく。トーストが不十分だったか、組み立ててから上火に入れるまで長く置きすぎている。表面が乾くまでトーストし、ソースができてから組み立て、すぐに上火で焼く。
  • ソースがゆるすぎる。ビールが多すぎる、チェダーが足りない、またはチーズが完全に溶ける前に注いだ可能性がある。160mlのビールに400gのチェダーという比率を守り、へらを覆う濃さになるまで混ぜてから注ぐ。
1人分の栄養目安

1人分の栄養目安

  • 1食分の量4皿のうち1皿、約300g
  • エネルギー739kcal
  • 炭水化物34g
  • たんぱく質48g
  • 脂質45g
  • 食物繊維2g
  • ナトリウム1593mg
アレルゲンと食品衛生

アレルゲンと食品衛生

卵、乳、小麦と大麦由来のグルテン、マスタード、亜硫酸塩を含む。ハム、チェダー、卵は使うまで冷蔵する。黄身をやわらかく残す仕上げには殺菌済み卵を使い、未殺菌卵なら中心を71℃まで加熱する。鍋と上火での加熱時間は短く、ビール由来のアルコールが完全に除去される保証はない。残りは2時間以内に4℃以下で冷蔵し、3〜4日以内に使い切り、温め直しは74℃まで行う。溶けたチーズ、強い上火、アルコールを含む蒸気、高温の個別皿はやけどの危険がある。

仕上がり

仕上がり

  • 仕上がり: 厚切りトーストとハムをつやのあるチェダー・ビールソースが覆い、その上に北フランスの「コンプレ」を特徴付ける卵をのせた熱い一人皿。
  • 決め手: チェダーを強く沸騰させずに少しずつ溶かし、長時間加熱する代わりに上火で短く焼いて仕上げる。