フランス料理のレシピ

鶏肉のワーテルゾーイ(Waterzooi de poulet)

フランス北部とフランドル国境地域でも親しまれている鶏肉のワーテルゾーイ。鶏肉、ポロねぎ、にんじん、セロリ、じゃがいもをチキンストックで穏やかに煮て、最後に生クリームと卵黄を合わせたリエゾンで汁に薄いコクを付ける。小麦粉でとろみを付ける濃いクリーム煮にはせず、さらりと流れるスープ状に仕上げる。

フランス料理のレシピ
共有
鶏肉のワーテルゾーイ(Waterzooi de poulet):器に盛り付けた一品
準備時間 30分
加熱時間 45分
合計時間 75分
出来上がり量 深めの器4杯分。完成量は約2.5kgで、うち仕上げたスープは約1.05L
料理の特徴

鶏肉のワーテルゾーイ — 鶏肉と野菜をクリームと卵黄で仕上げる淡い煮込み

ワーテルゾーイはベルギーのゲントとフランドルの食文化に強く結び付く料理で、魚を使った古い形から鶏肉版も広く定着しました。一方、フランス北部からフランドル国境にかけても自然に受け入れられている料理です。ここではその越境的な背景を保ちながら、一般的な濃厚クリームシチューへ置き換えません。にんじん、ポロねぎ、セロリが野菜の骨格を作り、じゃがいもが主菜としての食べ応えを加えます。

仕上がりの液体はあくまで軽く、流動性を保ちます。鶏肉と野菜を煮た後、乳製品を入れる前にスープだけを約900mlまで煮詰めて味を集約します。その後、生クリームと卵黄を混ぜ、熱いスープを少しずつ加えて温度差を小さくしてから鍋に戻します。完成したスープはスプーンを薄く覆う程度で、どろりと固くならないことが重要です。卵黄を入れた後は沸騰させません。

骨なし・皮なしの鶏もも肉を使うため、購入重量800gがそのまま可食部の生重量です。骨や皮の歩留まりを見積もる必要がなく、家庭でも分量を再現しやすくなります。加熱の安全性は色ではなく温度で確認し、最も厚い部分が74℃に達することを確認します。卵黄を加えたスープは71℃まで上げますが、沸騰はさせません。この2つの温度は別々の管理点です。

完成形は、鶏肉の大きな切り身、形を保ったやわらかなじゃがいも、しんなりした野菜、淡い色のスープが一つの器にまとまったものです。パセリは最後に加えます。卵と乳製品を使ったスープは長時間保温すると粒状になりやすいため、仕上げたらすぐに盛り付けます。

成功のポイント

成功のポイント

  • 最初の野菜は色付けず、透き通って少しやわらかくなるまで加熱する。
  • 鶏肉はぐらぐら沸かさずにポーチし、色ではなく中心温度74℃で安全性を確認する。
  • 生クリームと卵黄を入れる前に、プレーンなスープを約900mlまで煮詰める。
  • リエゾンは熱いスープで少しずつ温度を上げ、仕上げは71℃で止めて沸騰させない。
材料

材料

  • 800g 骨なし・皮なし鶏もも肉フィレ。冷蔵し、大きめのまま使う
  • 20g 無塩バター。冷たいまま角切り
  • 120g 黄玉ねぎ。皮をむき、薄切り
  • 200g ポロねぎ。白〜淡緑色の部分を洗い、5mm幅に切る
  • 200g にんじん。皮をむき、5mm角程度の棒状に切る
  • 120g セロリの茎。筋や端を整え、5mm幅に切る
  • 500g 煮崩れしにくいじゃがいも。皮をむき、3cm角程度に切る
  • 1,200ml 無塩チキンストック。冷蔵または冷ました状態
  • 1 枚 ローリエ
  • 2 枝 生タイム
  • 3g 細粒塩
  • 1g 黒こしょう(粉末)
  • 150ml 殺菌済み生クリーム(乳脂肪分約30%)。冷蔵
  • 36g 卵黄。大きめ約2個分。できれば殺菌済みのものを冷蔵して使う
  • 15g イタリアンパセリの葉。細かく刻む
作り方

作り方

作り方

  1. 材料を準備する。鶏肉、野菜、じゃがいも、ハーブ、チキンストック、リエゾン用の材料を計量する。鶏肉、生クリーム、卵黄は使う直前まで冷蔵する。生の鶏肉に触れたまな板や器具は、その後十分に洗浄・衛生処理する。野菜は火の通りがそろうよう、指定の大きさに均一に切る。

  2. 野菜を色付けずに炒める。4〜5Lの鍋に20gの無塩バターを入れ、弱めの中火で溶かす。玉ねぎ、ポロねぎ、にんじん、セロリを加え、時々混ぜながら8分加熱する。玉ねぎとポロねぎが透き通り、野菜が少しやわらかくなっても焼き色は付いていない状態にする。

  3. じゃがいもとスープを先に煮る。500gのじゃがいも、1,200mlの無塩チキンストック、ローリエ1枚、タイム2枝、塩3g、黒こしょう1gを加える。中火で温度を上げ、沸騰直前で弱めの中火にして8分煮る。液面の縁に小さな泡が出て湯気が立ち、じゃがいもが少しやわらかくなり始めればよい。

  4. 鶏肉を安全にポーチする。800gの鶏もも肉を重ならないように加え、弱火〜弱めの中火で穏やかな沸き方を保って15分煮る。色だけで判断せず、最も厚い部分を温度計で測る。鶏肉が74℃に達し、じゃがいもは串が通るやわらかさでも形を保っている状態にする。

  5. スープを煮詰める。穴あきスプーンで鶏肉、じゃがいも、野菜を温めたボウルに移し、ローリエとタイムは取り除く。鍋を中火にし、ふたをせず約8分煮詰める。必要なら計量し、スープが約900mlになり、味は集約していても液体としてさらりと流れる状態にする。

  6. リエゾンの温度をならす。耐熱ボウルで150mlの生クリームと36gの卵黄をなめらかになるまで混ぜる。泡立て器で絶えず混ぜながら、熱い煮詰めスープ約200mlを細く流し入れ、約3分かけて温度を徐々に上げる。ダマや凝固がなく、温かく、流れる状態にする。

  7. 沸騰させずに仕上げる。鍋を強い熱源から外し、温度をならしたリエゾンを泡立て器で混ぜ込む。弱火に戻し、約3分混ぜながら温度を確認する。卵黄入りスープが71℃に達し、スプーンを薄く覆うが沸騰の泡や分離がない状態で止める。鶏肉と野菜を戻して温まる程度に加熱し、火から下ろして15gのパセリを混ぜ、すぐに盛り付ける。

盛り付け

実用情報

盛り付け

鶏肉、じゃがいも、野菜を4つの深めの器に均等に分け、1杯につき仕上げたスープを約260ml注ぐ。具が十分に入っていても、液体が具の間を流れるスープ料理らしい状態を保つ。濃いクリームソースのように重くしない。

保存と温め直し

残った料理は2時間以内に浅いふた付き容器へ移し、4℃以下で冷蔵する。3〜4日以内に使い切る。温め直すときは、かき混ぜながら全体を74℃まで穏やかに加熱する。強く沸騰させるとリエゾンがざらつきやすい。じゃがいもと卵・生クリームのスープは解凍後に食感が崩れやすいため、冷凍は勧めない。

作り置き

完成品は当日仕上げて食べるのが最もよい。1日前までに進める場合は、生クリームと卵黄のリエゾンを加えずに鶏肉、野菜、煮詰めたスープまで作り、浅い容器で速やかに冷やして冷蔵する。翌日はそのベースを74℃まで温め、新しいリエゾンを作って加え、71℃で仕上げる。

代用

骨なし・皮なし鶏むね肉でも鶏肉のワーテルゾーイとしての基本的な同一性は保てるが、もも肉より脂肪が少なく乾きやすい。早めに中心温度を確認し、74℃に達したら加熱しすぎない。乳脂肪分が低い調理用クリームを使うとスープは軽くなる一方、分離しやすくなるため、最後の加熱を特に穏やかにする。

うまくいかないとき

うまくいかないとき

  • リエゾンが固まって粒状になった。卵黄を入れた後に沸騰させたか、冷たい卵黄液へ熱いスープを急に加えた可能性が高い。すぐ火から下ろしてやさしく混ぜる。強く凝固したものは完全には戻らないため、次回は少しずつ温度をならし、温度計で管理する。
  • スープが薄すぎる。リエゾンを加える前の煮詰めが不足している。生クリームと卵黄を入れる前に、プレーンなスープを約900mlまで減らす。後から小麦粉を加えると料理の性格が変わるため行わない。
  • 鶏肉が乾いた。液体を強く沸騰させたか、74℃に達した後も長く鍋に残した可能性がある。穏やかにポーチし、火が通った鶏肉はスープを煮詰める間いったん温かいボウルへ移す。
1人分の栄養目安

1人分の栄養目安

  • 1食分の量4杯のうち1杯、約650g。仕上げたスープ約260mlを含む
  • エネルギー642kcal
  • 炭水化物40g
  • たんぱく質48g
  • 脂質32g
  • 食物繊維6g
  • ナトリウム644mg
アレルゲンと食品衛生

アレルゲンと食品衛生

卵、乳、セロリを含む。生の鶏肉、生クリーム、卵黄は使うまで冷蔵し、生の鶏肉の汁が加熱済み食品や清潔な器具に触れないようにする。鶏肉はすべて、最も厚い部分が74℃に達するまで加熱する。リエゾンを加えた後のスープは、かき混ぜながら71℃まで加熱するが沸騰させない。残りは2時間以内に4℃以下で冷蔵し、3〜4日以内に食べ、温め直しは74℃まで行う。熱いスープと蒸気はやけどの原因になるため、鍋を安定させ、注ぐときも注意する。

仕上がり

仕上がり

  • 仕上がり: やわらかな鶏肉と野菜が、淡い色でスプーンを薄く覆う程度のスープに入り、濃いクリームソースではなくワーテルゾーイらしい軽さを保つ。
  • 決め手: 先にプレーンなスープを煮詰め、生クリームと卵黄の温度をならしてから加え、71℃で沸騰させずに仕上げる。