低温発酵の生地を一定温度の油でふくらませる
クラフネ・ポクラドニツェ、アプリコットジャムを詰めた軽い発酵ドーナツ
クロアチアの謝肉祭期に親しまれるクラフネを、アプリコットジャム入りで再現。卵とバターを含む生地は軽く発酵させ、170〜175 °Cで揚げて淡い輪と柔らかな内層を作る。

- 分量
- 12個
- 下ごしらえ
- 45分
- 加熱
- 25分
- 発酵
- 1時間45分
- 合計
- 2時間55分
- 1個
- 約 365 kcal
01 · 発酵、油温、フィリング
軽い内層と白い帯を作るための条件
生地の硬さ、二回の発酵、油温をそろえると、外側だけが濃くならず中心まで均一に火が通る。
クラフネはクロアチアで広く作られる発酵ドーナツで、特に謝肉祭期の菓子として知られる。地域や店によってジャム、クリーム、チョコレートなどの詰め物が使われるが、アプリコットジャムは酸味が生地の甘さを整え、家庭でも扱いやすい。本稿では揚げた後に細い口金で詰めるため、フィリングが油へ漏れず、1個ごとの量もそろえやすい。
生地は牛乳、卵、卵黄、バターを含むため、リーンなパン生地より柔らかく、発酵もゆっくり進む。粉を追加し過ぎると成形は楽でも内層が詰まり、翌日硬くなる。最初は少し粘りがあっても、8〜10分こねるとグルテンがつながり、油を薄く塗った手で扱える状態になる。窓膜を完全に求めるより、表面がなめらかで弾力を持つことを確認する。
一次発酵では体積が約2倍になるまで待ち、時計より生地の状態を優先する。室温が低ければ90分以上かかることもある。成形後の二次発酵は、円盤を指で軽く押すと跡がゆっくり戻る段階まで。発酵不足では油の中で急激に裂け、過発酵では持ち上げた時にしぼむ。粉を多く振ると揚げ油が汚れるため、オーブンシートを小さく切って各生地の下へ敷く方法が安全である。
油温は170〜175 °Cを保つ。低すぎると吸油が増え、高すぎると中心が生のまま表面だけ濃くなる。鍋へ一度に入れるのは2〜3個にし、最初の面はふたをして蒸気を保つと膨らみやすい。返した後はふたを外す。揚げ上がりは中心温度93 °C前後、または割った試作品に生の筋がないことを確認する。ジャムは完全に冷めてから詰め、粉糖も表面の蒸気が抜けてから振る。
粉を足し過ぎない
柔らかな生地を十分にこね、打ち粉ではなく薄い油で扱う。
二次発酵を指跡で判断する
押した跡がすぐ戻るなら不足、戻らず沈むなら進み過ぎている。
油温を170〜175 °Cに保つ
少量ずつ揚げると白い帯と均一な内層を作りやすい。
02 · 12個分の発酵生地とフィリング
卵とバターを使うクラフネの配合
直径24〜26 cmの深鍋、温度計、穴あき杓子、絞り袋と細い口金を用意する。
発酵生地
- 500 g 強力粉
- 250 ml 牛乳、30 °C前後
- 7 g インスタントドライイースト
- 60 g グラニュー糖
- 2個 卵
- 1個分 卵黄
- 60 g 無塩バター、柔らかくする
- 15 ml ダークラム
- 1個分 レモンの皮、細かくすりおろす
- 5 ml バニラエキス
- 6 g 塩
揚げ油と仕上げ
- 1.2 L 揚げ油栄養計算では約90 gの吸油を見込む。
- 240 g アプリコットジャム粒が大きい場合は裏ごしする。
- 30 g 粉糖
03 · こね、二段発酵、揚げ
生地をつぶさず油へ移し、均一に火を通す
油温を保つため一度に2〜3個だけ揚げ、完全に冷めてからジャムを詰める。
生地をこねて一次発酵する
約1時間30分材料を一つの生地にまとめる
ボウルに牛乳、イースト、砂糖を入れて混ぜ、卵、卵黄、ラム、レモン皮、バニラを加える。粉と塩を加え、粉気がなくなるまで混ぜる。
バターを加えてこねる
柔らかいバターを3回に分けて加え、各回がなじんでから次を入れる。台またはミキサーで8〜10分こねる。
表面がなめらかで、持ち上げるとゆっくり伸び、ボウルの底からまとまって離れる。体積が約2倍になるまで発酵する
薄く油を塗ったボウルへ入れ、覆って24〜26 °Cで60〜90分発酵させる。室温が低い場合は時間を延ばす。
指を差した穴が急に閉じず、生地全体が軽く揺れる。
分割して二次発酵する
約50分12個へ分割して丸める
生地を台へ出して軽く押し、12等分する。各片の表面を張らせるよう丸め、継ぎ目を下にして小さく切ったオーブンシートへ置く。
厚い円盤へ整える
各生地を直径7〜8 cm、厚さ約2 cmの円盤にし、乾燥しないよう覆う。24〜26 °Cで35〜50分発酵させる。
指で軽く押した跡がゆっくり半分ほど戻る。
揚げ、冷まし、ジャムを詰める
約45分油を170〜175 °Cへ温める
深鍋へ油を入れ、中火で170〜175 °Cにする。網、紙、温度計を手元に置き、ジャムを絞り袋へ入れる。
片面ずつ揚げる
生地を紙ごと持ち上げ、紙を外して油へ静かに入れる。一度に2〜3個とし、最初の面をふたをして約2分、返してふたを外し約2分揚げる。
中央に淡い帯が現れ、両面が均一なきつね色になる。油を切って完全に冷ます
穴あき杓子で取り出し、網の上で30分以上冷ます。次の回を入れる前に油温を170 °Cへ戻す。
ジャムを詰めて粉糖を振る
側面へ細い口金を差し、各20 gのジャムをゆっくり絞る。表面の蒸気が完全に抜けてから粉糖を薄く振る。
持った時に軽く、割ると大きさのそろった気泡があり、生の筋がない。
04 · 発酵と揚げ油の数値管理
ふくらみと吸油を左右する基準
時間だけに頼らず、生地の戻り方と油温の回復を確認する。
発酵温度
24〜26 °C高過ぎるとバターが溶け、発酵臭が強くなる。
油温
170〜175 °C投入後も165 °Cを大きく下回らない量で揚げる。
中心の目安
約93 °C試作品で中心温度または生地の筋がないことを確認する。
| 問題 | 主な原因 | 修正方法 |
|---|---|---|
| 白い帯が出ない | 二次発酵不足、油温低下、または生地をつぶした。 | 十分に発酵させ、紙から滑らせるよう静かに油へ入れる。 |
| 外側だけ濃い | 油温が高過ぎるか、生地が厚過ぎる。 | 170〜175 °Cへ戻し、分割重量と厚さをそろえる。 |
| 油を多く吸う | 油温が低いか、揚げ時間が長い。 | 一度に入れる数を減らし、各面約2分を目安にする。 |
| ジャムが漏れる | 温かいうちに詰めたか、口金を深く動かした。 | 完全に冷まし、側面の一か所からゆっくり注入する。 |
05 · 食べ頃、保存、別の詰め物
揚げた日の柔らかさを生かす
クラフネは揚げた当日が最も軽い。保存する場合は粉糖とフィリングの扱いを分ける。
食べ頃
ジャムを詰めてから30分以内が、表面の薄い皮と柔らかな内層の対比が最もよい。温かい油のにおいが残るうちは詰めない。
保存
完全に冷めたものを密閉し、室温で当日中。翌日は10秒ほど電子レンジで温めてもよいが、粉糖は温めた後に振る。
フィリングの変更
- なめらかなローズヒップジャム
- 濃いプラムジャム
- 冷えたバニラカスタード
06 · 生地と揚げ方の疑問
クラフネ・ポクラドニツェのQ&A
前日に生地を仕込めるか
一次発酵の前に冷蔵し、8〜12時間ゆっくり発酵できる。翌日は室温へ30分置き、分割して二次発酵する。
ラムは省けるか
省ける。15 mlの牛乳に置き換える。ラムは香りを加えるが、軽い食感の必須条件ではない。
オーブンで焼けるか
焼けるが、揚げたクラフネとは表皮と香りが異なる。190 °Cで約12分焼き、冷めてからジャムを詰める。
07 · 1個分の概算
栄養情報
生地、ジャム240 g、粉糖30 g、推定吸油量約90 gを12等分して算出した。
- カロリー
- 約 365 kcal
- 炭水化物
- 約 53 g
- たんぱく質
- 約 6 g
- 脂質
- 約 13 g
- 食物繊維
- 約 2 g
- ナトリウム
- 約 210 mg
1食分:ジャム入りクラフネ1個。主なアレルゲン:小麦、卵、乳。標準的な食品成分値による概算で、銘柄、脂身、吸油量、切り分け方によって変動する。