オーストリアの国民料理

オーストリアのシュタイリッシェス・ヴルツェルフライシュ

レシピ早見表

オーストリアのシュタイリッシェス・ヴルツェルフライシュ

構造化レシピの主要情報。

カテゴリー肉の主菜
料理オーストリア
難易度中級
調理法弱火で煮る
合計2時間30分
分量
6人分
準備
30分
加熱
2時間
カロリー
約 620 kcal

シュタイアーマルク料理 · オーストリア · レシピ

シュタイリッシェス・ヴルツェルフライシュ 根菜と豚肉を澄んだ煮汁で仕上げる 一皿

豚肩肉を香味野菜と静かに火入れし、細切りのにんじん、セロリアック、ポロねぎ、子じゃがいもを澄んだ煮汁に重ね、西洋わさびで輪郭を付ける料理。

楕円皿に薄切り豚肉、細切り根菜、子じゃがいも、白い西洋わさびを配した料理
16:9の写真では、澄んだ煮汁の上に豚肉と根菜を広げ、右側にじゃがいもとすりおろした西洋わさびを置いている。

01 · 概要

概要

シュタイリッシェス・ヴルツェルフライシュは、オーストリア南東部シュタイアーマルクで親しまれる豚肉料理である。名称のWurzelは根菜、Fleischは肉を指し、主役はやわらかく煮た豚肉と、細長く切った根菜の組み合わせにある。濃いソースで覆うのではなく、肉の煮汁を澄んだまま残し、にんじん、セロリアック、ポロねぎの甘みを最後に重ねるため、味は力強いのに後口が重くなりにくい。寒い季節の昼食や家族の食卓に向くが、盛り付けは意外に端正で、薄切り肉の上に根菜を整え、西洋わさびを添える。

肉を強く煮立てず、根菜を最後に短く煮る。その温度差がこの料理の輪郭を作る。

このレシピでは豚肩肉を大きな塊のまま使う。沸騰させ続けると筋繊維が締まり、煮汁も濁るため、表面がかすかに揺れる温度を保つ。最初の二十分で浮く灰汁を取り、玉ねぎ、ローリエ、粒こしょうを加えてからは鍋を急かさない。肉の中心が安全な温度に達した後も、コラーゲンがほどけて包丁が滑らかに入るまで火を通すことが、薄切りにしても崩れない食感につながる。

根菜は二段階で扱う。煮汁の土台になる野菜は大きめに切って肉と煮込み、仕上げ用は細い棒状に切って短時間だけ煮る。この差が、煮汁の深さと盛り付けた野菜の歯ざわりを両立させる。じゃがいもは別鍋で皮付きのままゆで、煮崩れを避ける。西洋わさびは加熱すると香りが弱くなるため、食卓に出す直前にすりおろす。

酸味は白ワインビネガーを少量だけ使う。酢の味を前に出すのではなく、豚脂と根菜の甘さを切る量にとどめる。煮汁の塩分は煮詰まりを見越して控えめに始め、盛り付け前に整える。肉、根菜、じゃがいも、わさびを一口に含んだとき、甘み、塩気、辛味が順に感じられる状態が目安になる。

02 · 材料

材料

豚肉と煮汁

1.2 kg
豚肩肉 脂身が適度に入った塊
2.5 L
冷水 肉が十分に浸かる量
玉ねぎ 1個(半分に切る) 切り口を乾煎りして色を付ける
にんじん 1本(大きく切る)
セロリアック 150 g(大きく切る)
ポロねぎ 1本の青い部分
2枚
ローリエ
黒こしょう粒 10粒
12 g

仕上げ

にんじん 2本(5 cmの細切り)
セロリアック 250 g(5 cmの細切り)
ポロねぎ 1本の白い部分(細切り)
900 g
子じゃがいも
25 ml
白ワインビネガー
西洋わさび 80 g(食べる直前にすりおろす)
チャイブ 15 g(小口切り)

03 · 作り方

作り方

煮汁を作る

  1. 玉ねぎに焼き色を付ける

    玉ねぎの切り口を乾いたフライパンに当て、濃い茶色になるまで5分焼く。焦げた面が煮汁に淡い琥珀色を与える。

  2. 豚肉をゆっくり温める

    鍋に豚肩肉と冷水を入れ、中火で20分ほどかけて沸騰直前まで上げる。浮いた灰汁を取り、表面が澄むまで続ける。

  3. 香味野菜を加える

    焼いた玉ねぎ、大きく切ったにんじん、セロリアック、ポロねぎの青い部分、ローリエ、粒こしょう、塩を加える。

肉をやわらかくする

  1. 弱火で煮る

    ふたを少しずらし、90〜95°Cを保って約1時間35分煮る。中心温度が63°Cを超え、竹串が抵抗なく入る状態まで火を通す。

  2. 肉を休ませて煮汁をこす

    肉を取り出してアルミ箔を軽くかけ、15分休ませる。煮汁を細かいざるでこし、1.2 Lを鍋に戻す。

根菜を仕上げる

  1. じゃがいもをゆでる

    別鍋で子じゃがいもを塩水から20〜25分ゆで、串が中心まで入ったら湯を切る。

  2. 細切り根菜を煮る

    こした煮汁を弱く沸かし、にんじんとセロリアックを6分、ポロねぎを加えてさらに3分煮る。歯ざわりが残るところで火を止め、ビネガーを混ぜる。

  3. 切って盛る

    豚肉を繊維に逆らって7 mm厚に切る。根菜と煮汁を器に広げ、肉とじゃがいもを置き、西洋わさびとチャイブを添える。

04 · 実用情報

実用情報

盛り付けと組み合わせ

深さのある大皿に根菜と煮汁を先に入れ、肉を少し重ねて置く。じゃがいもは煮汁に半分だけ触れさせると皮の香りが残る。辛口の白ワイン、無糖のりんごジュース、黒パンが合わせやすい。

保存と温め直し

肉と煮汁は別容器で急冷し、冷蔵で3日まで保存する。根菜とじゃがいもは2日以内に食べる。温め直しは肉を薄切りにして80°C前後の煮汁へ入れ、沸騰させずに中心まで熱くする。冷凍は肉と煮汁のみ1か月が目安。

四つの実用的な変更

豚肩肉は豚首肉に替えられる。セロリアックの一部をパースニップにすると甘みが増す。白ワインビネガーはりんご酢でもよい。西洋わさびの辛味が強い場合は、すりおろしりんごを同量まで混ぜる。

道具と料理人の注意点

5 Lの厚手鍋、細かいざる、よく切れる包丁が中心になる。肉は煮上がり直後に切らず休ませる。根菜は太さをそろえ、煮汁へ入れる順番を守る。塩はこした後に再調整すると過剰になりにくい。

05 · 栄養情報

栄養情報

カロリー
約 620 kcal
炭水化物
約 33 g
たんぱく質
約 47 g
脂質
約 32 g
食物繊維
約 6 g
ナトリウム
約 980 mg

1食の基準: 1人分。 アレルゲン: 特定アレルゲンとしてセロリを含む。西洋わさびが手に入らない場合は、無糖の瓶入りホースラディッシュを水気を切って使う。豚肩肉は中心温度63°C以上に達した後、食感がやわらかくなるまで煮る。 数値は標準的な食品成分値から算出した概算で、製品、脂の除去、油の吸収、盛り分けにより変わる。

澄んだ煮汁、やわらかな豚肉、細い根菜。三つの質感が同じ皿でそろう。

この料理は長い材料表ではなく、静かな温度管理で完成度が決まる。肉を急がせず、根菜を煮過ぎず、西洋わさびを最後に添えることで、シュタイアーマルクらしい簡潔な一皿になる。