オーストリア料理 · 冷たい前菜・軽食 · レシピ
ブレットルヤウゼ ハムとチーズを木の板に盛る オーストリアの冷製プレート
燻製肉とハム、山のチーズ、ライ麦パン、ピクルス、卵、豆のサラダを一枚の板に組み立てる。塩味、脂肪、酸味、歯触りの配分まで考えた6人分の盛り合わせ。
分類: 前菜・軽食/料理: オーストリア/難易度: やさしい/合計: 45分

16:9の横長写真では、肉類を中央、パンを左、チーズと酸味のある付け合わせを右に置き、取り分けやすい流れを作っている。
一枚の板で成立する山間部の軽食
ブレットルヤウゼの作り方は、決まった一品を再現する作業ではなく、保存の利く食材を一枚の板で食べやすく整える技術に近い。ドイツ語圏のオーストリアで「Brett」は板、「Jause」は食事と食事の間に取る軽食を指し、農家、山小屋、ワイン居酒屋では、土地の燻製肉、チーズ、パン、漬物が手元の在庫に合わせて組み合わされてきた。豪華さよりも、少量ずつ異なる味を切り替えながら食べられることが核になる。
良いブレットルヤウゼは、食材の数ではなく、塩味の後に酸味が来る配置で決まる。
盛り合わせの中心には、脂のあるベーコン系の燻製肉、赤身のハム、香辛料をきかせたサラミを置く。似た肉ばかりを増やすと塩味と脂肪が単調になるため、このレシピでは質感の異なる四種に絞った。山のチーズは常温に少し戻して香りを開かせる一方、肉類は食卓に出す直前まで冷蔵する。温度を一律にしない点が、味の輪郭をはっきりさせる。
酸味は装飾ではない。きゅうりのピクルス、青唐辛子の酢漬け、薄切りの玉ねぎ、りんご酢で和えた豆が、肉とチーズの脂を切り、次のひと口を軽くする。ゆで卵とリプタウアー風のチーズスプレッドは、硬いパンと乾いた燻製肉の間をつなぐ役割を持つ。西洋わさびは一度に多く塗らず、肉一切れに少量を添える。
切り方にも理由がある。ハムは折り畳める薄さ、ローストした豚肉は繊維が分かる5ミリ前後、硬いサラミは3ミリ程度が食べやすい。チーズは先端から口に入れやすい細長いくさび形にし、パンは一人二枚を目安に切る。板の中央を肉、外周をパンと酸味のある食材にすると、取り分ける手が交差しにくい。
完成後に長く室温へ置く料理ではない。冷製肉、卵、チーズスプレッドは食卓に出してから二時間以内を目安に冷蔵へ戻し、暑い環境では時間をさらに短くする。食べる直前に盛り付け、パンだけは別のかごに追加分を用意すると、板の上が湿らず、最後まで食感を保てる。
盛り付けの流れ — 四つの判断点
レシピの要点。 四種の肉、二種のチーズ、ライ麦パン、卵、漬物、豆のサラダを6人で取り分ける。肉は薄さを変えて食感に差をつけ、チーズは食べる20分前に冷蔵庫から出す。酸味のある品を板の数か所へ分散させると、どこから取っても味の偏りが少ない。
材料
肉、チーズ、パン
- 燻製豚ロース 180 g — 5ミリほどに切り、赤身の食感を残す
- スモークハム 180 g — 薄切りを軽く折って盛る
- 生ハム 120 g — 塩味が強いため少量ずつ配置する
- 乾燥サラミ 160 g — 硬い外皮を除き3ミリに切る
- 山のハードチーズ 240 g — 食べる20分前に冷蔵庫から出す
- リプタウアー風チーズスプレッド 160 g — 小鉢か大きめの一山にして置く
- ライ麦パン 480 g — 厚さ約1センチ、食べる直前に切る
酸味と付け合わせ
- 卵 3個 — 9分ゆでて半分に切る
- きゅうりのピクルス 180 g — 汁気を十分に切る
- 青唐辛子の酢漬け 120 g — 辛さに応じて本数を調整する
- 玉ねぎ 120 g — 薄い輪切りにし、冷水へ5分さらす
- 西洋わさび 60 g — 細かくすりおろすか瓶詰めを使う
- ゆでた赤いんげん豆 240 g — 水気をよく切る
- りんご酢 20 ml — 豆の酸味を整える
- ひまわり油 25 ml — 豆を乾かさずまとめる
- ケッパー 15 g — 粗く刻む
- パセリ 10 g — 豆に混ぜ、少量を飾りに使う
ブレットルヤウゼの作り方
下ごしらえ
卵をゆでる
卵を沸騰した湯へ静かに入れ、9分ゆでる。冷水で完全に冷まし、殻をむいて半分に切る。
豆のサラダを作る
赤いんげん豆、りんご酢、ひまわり油、ケッパー、刻んだパセリを混ぜ、10分置く。豆の表面に薄く調味液が残る程度で、汁だまりを作らない。
酸味の食材を整える
ピクルスと青唐辛子はペーパーで水気を取り、玉ねぎは冷水へ5分さらしてから十分に絞る。水分を残すとパンと肉の表面が早く湿る。
切り分け
肉を厚さ別に切る
燻製豚ロースは5ミリ、サラミは3ミリを目安に切る。薄切りのハムと生ハムは一枚ずつ軽く折り、重なりの間に空気を入れる。
チーズとパンを切る
ハードチーズは細長いくさび形にし、ライ麦パンは厚さ約1センチに切る。切ったパンは乾かないよう布をかけ、盛り付けの最後まで別に置く。
配置と提供
大きな要素から置く
木製ボードの左にパン、中央に肉類、右下にチーズを置く。似た色の肉が連続しないよう、赤身と脂の多い種類を交互に並べる。
小さな付け合わせを加える
卵、ピクルス、青唐辛子、玉ねぎ、チーズスプレッド、西洋わさび、豆のサラダを空いた場所へ分けて置く。酸味のある品を一か所へ集めず、板の両側に散らす。
時間を記録して食卓へ出す
盛り付けが終わった時点を確認し、すぐに提供する。冷製肉、卵、チーズは室温へ出してから2時間以内に冷蔵へ戻す。
食べ方、保存、調整
食べ方と組み合わせ
パンに薄くチーズスプレッドを塗り、燻製肉、玉ねぎ、ピクルスを重ねると、板の各要素が一口にまとまる。辛口のりんごジュース、炭酸水、軽い白ワインのような酸味を持つ飲み物が合わせやすい。追加のパンは板の外に置き、湿気と食材の混雑を避ける。
保存
残った肉、チーズ、卵はそれぞれ密閉し、冷蔵で2日以内に使う。豆のサラダは冷蔵で2日、パンは常温で1日を目安にする。一度長く室温へ出した冷製品を翌日の盛り合わせへ戻さない。
四つの調整案
1. 豚肉を避ける場合は燻製七面鳥と牛肉サラミへ替える。2. 肉を使わない板ではチーズを三種に増やし、大根、りんご、ローストした種を加える。3. 夏はトマトときゅうり、冬はゆでた小じゃがいもを添える。4. 辛い西洋わさびの代わりに粒マスタードを少量置く。
シェフの要点
第一に、肉を冷たいまま切ると断面が崩れにくい。第二に、チーズだけは少し温度を上げると香りが出る。第三に、ピクルスの汁気を取る作業が、見た目よりもパンの食感を長く守る。
必要な道具
幅45センチ前後の木製ボード、長い薄刃のナイフ、小鍋、小鉢二つ、トングを使う。大きな板は装飾のためではなく、肉、パン、酸味のある食材を接触させず配置するために必要になる。
1人分の栄養価
- エネルギー
- 約 690 kcal
- 炭水化物
- 約 45 g
- たんぱく質
- 約 35 g
- 脂質
- 約 42 g
- 食物繊維
- 約 6 g
- ナトリウム
- 約 1900 mg
主なアレルゲン: 小麦、乳、卵。製品によりマスタード、セロリ、亜硫酸塩。標準的な食品成分値から算出した概算で、製品、可食部、油の吸収量、切り分け方によって変動する。
切る厚さと酸味の置き場所が、一枚の板を単なる冷製肉の山から食事へ変える。
ブレットルヤウゼは火を使う時間が短い分、食材の温度、水分、塩味の重なりがそのまま結果に現れる。肉を種類ごとに切り分け、チーズを少しだけ常温へ戻し、漬物の水気を切る。その三点が守られれば、土地や入手できる品が変わっても、オーストリア式の軽食として筋の通った一皿になる。