ウィーン料理 · オーストリア · レシピ
ターフェルシュピッツ 香味野菜で静かにゆでる 牛肉料理
脂の縁を残した牛ランプを香味野菜のスープで静かにゆで、薄切りにして根菜、ローストポテト、二種の冷たいソースとともに供する。
カテゴリー: 肉の主菜/ 料理: オーストリア/ 難易度: 中級/ 調理法: 低温のゆで煮/ 合計: 3時間5分

横長の写真では、牛肉の脂の縁と薄切りの方向、根菜、三種の付け合わせが一度に確認できる。
沸騰させない牛肉料理の精度
ターフェルシュピッツは、脂の縁を持つ牛のランプ先端部を澄んだスープでゆでるウィーン料理である。名称は部位名としても料理名としても使われ、食卓では肉だけでなく、煮汁、根菜、じゃがいも、薬味までが一組になる。派手な焼き色はないが、薄切り肉の繊維がきれいにほどけ、脂が乳白色に残り、スープが濁っていないことが仕上がりの基準になる。
肉をやわらかくするのは高い温度ではなく、長く安定した温度である。
肉は冷水からではなく、先に作った熱い牛肉スープへ入れる。この方法では表面のたんぱく質が早く固まり、肉の風味を内部に保ちやすい。一方で強く沸騰させると肉が締まり、スープが白濁する。鍋の表面に小さな泡が時折上がる程度に保ち、途中で肉を何度も動かさない。厚い脂の縁は切り落とさず、浅い切り込みを入れて縮みを防ぐ。
このレシピでは、牛すねと骨で作る土台のスープを短縮せず、香味野菜を後半に加える。根菜を最初から長く煮ると甘みが強くなり過ぎ、形も失われるためである。肉を休ませる間に煮汁をこし、にんじん、かぶ、セロリアックを食べやすい大きさに切って温め直す。肉は繊維を断つ向きに切る。
付け合わせの役割も明確である。チャイブソースは卵黄とパンを基礎にした穏やかな酸味を持ち、りんご西洋わさびは脂を切る。じゃがいもはオーブンで縁を香ばしく焼く。三つを同じ皿に盛り込み過ぎず、小鉢で添えると、それぞれの温度と質感が保たれる。
ゆで煮の進行を見失わない
レシピの要点。 牛骨と牛すねを短時間煮て土台のスープを作り、こした熱いスープに脂の縁を残した牛ランプを入れる。90〜95°Cで約1時間40分ゆで、後半に根菜を加える。肉を15分休ませて繊維を断つ向きに切り、澄んだ煮汁を少量かける。ローストポテト、チャイブソース、りんごと西洋わさびの薬味を別添えにし、肉の穏やかな風味を保つ。
材料
牛肉とスープ
- 牛ランプ先端肉 1.5 kg(脂の縁付き)
- 牛すね肉 500 g
- 牛骨 700 g
- 冷水 3 L
- 玉ねぎ 1個(半分に切る)
- にんじん 3本
- セロリアック 300 g
- かぶ 3個
- ポロねぎ 1本
- ローリエ 2枚
- 黒こしょう粒 12粒
- 塩 18 g
チャイブソースとりんご西洋わさび
- 食パン 60 g(耳を除く)
- 牛乳 120 ml
- ゆで卵黄 2個
- 植物油 80 ml
- 白ワインビネガー 20 ml
- チャイブ 25 g
- りんご 2個(約300 g)
- 西洋わさび 70 g
- レモン汁 15 ml
- 砂糖 5 g
付け合わせ
- じゃがいも 1 kg(くし形)
- 植物油 30 ml
- 塩 4 g
ターフェルシュピッツ レシピの手順
スープの土台
玉ねぎを焼く
玉ねぎの切り口を乾いた鍋で5分焼き、濃い茶色にする。
牛すねと骨を煮る
牛すね、牛骨、冷水を加え、25分かけて沸騰直前まで温める。灰汁を取り、玉ねぎ、ローリエ、粒こしょう、塩を加えて弱火で20分煮る。
スープをこす
牛すねと骨を取り出し、スープを細かいざるでこして鍋へ戻す。
ランプ肉をゆでる
脂に切り込みを入れる
ランプ肉の脂の縁へ2 cm間隔で浅い切り込みを入れる。肉まで深く切らない。
熱いスープへ入れる
スープを90〜95°Cにし、肉を入れる。表面に浮く灰汁を取り、弱い沸き方で1時間20分煮る。
根菜を加える
大きく切ったにんじん、セロリアック、かぶ、ポロねぎを加え、さらに20〜30分煮る。肉の中心が63°C以上で、串が滑らかに入ることを確かめる。
ソースと盛り付け
じゃがいもを焼く
じゃがいもに油と塩を絡め、200°Cのオーブンで35〜40分、縁が濃い金色になるまで焼く。
チャイブソースを作る
食パンを牛乳に浸して絞り、ゆで卵黄、油、ビネガーと滑らかに混ぜ、刻んだチャイブを加える。
りんご西洋わさびを作る
りんごと西洋わさびをすりおろし、レモン汁と砂糖を混ぜる。変色を避けるため直前に作る。
肉を切って供する
肉を15分休ませ、繊維を断つ向きに8 mm厚で切る。根菜と少量のスープを添え、じゃがいもと二種のソースを別皿に置く。
盛り付け、保存、変更案
食卓での出し方
最初に澄んだ煮汁を小さなカップで出し、続いて肉を大皿に盛る方法がよく合う。チャイブソースは肉の横へ少量、りんご西洋わさびは脂の縁に近い位置へ添える。辛口白ワインや淡色ビールが合わせやすい。
保存と再加熱
肉は煮汁に浸して冷蔵し、3日以内に食べる。ソースは別容器で、チャイブソースは2日、りんご西洋わさびは1日が目安。再加熱は煮汁を80〜85°Cにし、薄切り肉を5分ほど温める。沸騰させると肉が乾く。
四つの変更案
ランプ先端肉がない場合は脂の縁があるトップサイドを使う。かぶはパースニップへ替えられる。チャイブソースの食パンは無糖のグルテンフリーパンでもよい。じゃがいもはゆでたものをバターで焼いても仕上がる。
必要な道具と要点
6 Lの厚手鍋、温度計、細かいざる、鋭いスライサーが役立つ。肉は必ず繊維の向きを見て切る。スープの温度を上げ過ぎず、塩は最後のこし作業後に確認する。二種の冷たいソースは肉を切る直前まで冷蔵する。
1食分の栄養価
- カロリー
- 約 690 kcal
- 炭水化物
- 約 44 g
- たんぱく質
- 約 58 g
- 脂質
- 約 30 g
- 食物繊維
- 約 7 g
- ナトリウム
- 約 1050 mg
1食の基準: 1人分。アレルゲン: 卵、乳、小麦、セロリを含む。牛肉は中心温度63°C以上に達してから3分以上置き、さらに煮込みでやわらかさを出す。西洋わさびは調理直前にすりおろす。 数値は標準的な食品成分値から算出した概算で、製品、脂の除去、油の吸収、盛り分けにより変わる。
一枚の牛肉を、澄んだスープと二つの薬味が別の表情へ変える。
ターフェルシュピッツは、焼き色ではなく温度と切り方で肉の質を示す料理である。スープを濁らせず、脂の縁を残し、繊維を断って切れば、簡素な構成の中に十分な奥行きが生まれる。