アルジェリア料理 · 肉の主菜 · レシピ
メシュイ 骨付きラム肩肉の長時間ロースト クミンと肉汁の焼き皮
祝いの席で焼かれる羊を、家庭用オーブンに収まる骨付きラム肩肉で再構成する。長時間の低温加熱で結合組織をほどき、最後の高温で皮を濃く焼く。
コース: 肉の主菜/料理: アルジェリア/難易度: 中級

横長写真ではローストしたラムの大皿、切り分けた肉、平パン、クミン塩、布とナイフが見える。
メシュイ レシピを家庭用オーブンへ置き換える
メシュイ レシピは、北アフリカで祝いの席に結び付く羊の丸焼きを、家庭用オーブンで実行できる骨付きラム肩肉へ置き換える。地域や催事によって焼き方は異なり、地中の炉、炭火、回転焼き、低温の窯などが使われる。家庭版では儀礼的な全羊を再現したとは述べず、同じ方向の香ばしい皮と骨離れのよい肉を目標にする。
低温で肉をほどき、高温は最後の皮だけに使う。
肩肉は筋と脂肪が多く、長時間加熱に向く。高温だけで短く焼くと筋が締まり、表面は色付いても内部が噛み切りにくい。150℃前後で覆ってゆっくり加熱すると、結合組織がゼラチンへ変わり、肉汁が繊維の間に残る。仕上げだけ温度を上げ、表面の脂を焼いて皮を香ばしくする。
香辛料は多く重ねず、クミンを中心に、にんにく、コリアンダー、パプリカ、黒こしょうを少量使う。柔らかいバターとオリーブ油を合わせると、香辛料が肉の表面へ密着し、長い焼成中も乾きにくい。レモン汁は香りを明るくするが、長時間漬け過ぎると表面の質感が変わるため4時間に留める。
肉は冷蔵状態で調味し、室温に長く放置しない。焼成前に30分だけ出し、深いローストパンへ置く。水を少量加えて密閉すると、前半は蒸気が肉を守る。途中で何度も開けると温度が落ちるため、最初の3時間は蓋または二重のアルミ箔を保つ。
食べやすい柔らかさは、一般的なミディアムの温度より高い90〜95℃付近で得られる。この温度帯では肩肉の筋がほどけ、骨が軽く動く。安全の確認だけならより低温でも足りるが、メシュイらしいほぐれる質感には時間と高い最終温度が必要になる。温度計と骨の動きの両方を見る。
仕上げに覆いを外し、230℃で皮を濃く焼く。焦げた香辛料は苦いため、表面を5分ごとに確認する。焼き上がり後は30分休ませ、肉汁を落ち着かせてから大きく切る。真鍮や大皿へ骨付きの部分とほぐした部分を混ぜて盛ると、写真のように皮、脂、柔らかな内部が同時に見える。
骨付き肩肉をほぐれる状態へ導く時間軸
レシピの要点。 骨付きラム肩肉へ、クミン、にんにく、コリアンダー、パプリカ、黒こしょう、バター、オリーブ油をすり込み、冷蔵で4時間置く。水を加えた深いローストパンで密閉し、150℃で約4時間焼く。中心温度90〜95℃、骨が軽く動く柔らかさになったら覆いを外し、230℃で皮を濃く焼く。30分休ませてから切り分け、クミン塩とパンを添える。
材料
ラムと香辛料
- 骨付きラム肩肉 3.2 kg — 余分な硬い脂だけを除く
- 無塩バター 80 g — 室温で柔らかくする
- オリーブ油 30 ml — 香辛料を広げる
- にんにく 6片 — すりおろす
- クミンパウダー 12 g — うち5 gは仕上げ塩用
- コリアンダーパウダー 8 g — 控えめに使用
- パプリカパウダー 8 g — 甘口
- 黒こしょう 4 g — 粗挽き
- シナモン 1 g — ごく少量
- 塩 24 g — うち6 gは仕上げ塩用
- レモン汁 30 ml — 調味用
焼成と供し方
- 水 250 ml — ローストパン用
- 平パン 適量 — 供する時。栄養計算には含めない
作り方
調味と休ませ
香辛料バターを作る
柔らかいバター、オリーブ油、にんにく、クミン7 g、コリアンダー、パプリカ、黒こしょう、シナモン、塩18 g、レモン汁を混ぜる。
ラムへすり込む
ラム肩肉の表面を紙で拭き、香辛料バターを全面と切れ目へ塗る。蓋をして冷蔵で4時間置く。
低温で焼く
焼成前に整える
オーブンを150℃に予熱する。ラムを焼く30分前に冷蔵庫から出し、深いローストパンへ置いて水250 mlを注ぐ。
密閉して長く焼く
蓋または二重のアルミ箔で密閉し、150℃で3時間45分〜4時間15分焼く。途中3時間までは開けない。
柔らかさを確認する
中心温度90〜95℃、太い骨が軽く動き、フォークで繊維がほどける状態を確認する。硬ければ覆って20分ずつ延長する。
皮を焼いて休ませる
高温で焼き色を付ける
覆いを外し、表面へ型の肉汁を薄く塗る。230℃へ上げ、15〜25分、皮が濃い褐色になり縁が香ばしくなるまで焼く。
休ませる
大皿へ移し、アルミ箔をふんわりかけて30分休ませる。
切り分けて供する
残りのクミン5 gと塩6 gを混ぜる。肉を大きく切り、骨付き部分とほぐした部分を盛り、クミン塩と平パンを別添えにする。
盛り付け、保存、調整
盛り付け
大皿へ皮付きの大きな部分、骨、ほぐした肉を混ぜて盛る。クミン塩は別皿にし、各自が少量付ける。平パン、玉ねぎのサラダ、酸味のあるレモンを添えると脂を切りやすい。
保存と再加熱
残りは2時間以内に浅い容器へ移し、冷蔵3日まで。再加熱は肉汁を少量加えて覆い、160℃で中心74℃まで。冷凍は肉汁と一緒に2か月。解凍は冷蔵庫で行う。
四つの調整案
①骨付き脚肉を使う場合は同重量で焼成を30〜45分短く確認する。②小さな肩肉2枚に分けると皮の面積が増える。③バターを全量オリーブ油へ替えると乳不使用になる。④最後の10分だけ炭火または高温グリルへ移し、煙香を付ける。
試作で分かった三点
前半の密閉を頻繁に開けない。最終温度は安全だけでなく結合組織の状態で決める。休ませる前に切ると肉汁が大皿へ流れ、繊維が乾く。
必要な器具
深い蓋付きローストパン、中心温度計、耐熱刷毛、大きなまな板、丈夫なナイフとトングを使う。温度計は骨に触れない厚い部分へ刺す。
1食分のおおよその栄養価
- カロリー
- 約 520 kcal
- 炭水化物
- 約 2 g
- たんぱく質
- 約 45 g
- 脂質
- 約 37 g
- 食物繊維
- 約 1 g
- ナトリウム
- 約 690 mg
1食の基準: 可食部約220 g。主なアレルゲン: 乳。骨と廃棄脂肪を除いた可食部、肉汁と表面の調味料を10人で分けた概算。肉の脂肪量と切り分けで変動する。平パンは含まない。
時間で筋をほどき、最後の熱で皮を作る。
家庭版のメシュイは全羊焼きそのものではないが、低温で結合組織をほどき、最後に高温で皮を焼く原理は明確に保てる。中心温度と骨の動きを確認し、十分に休ませれば、大きな肩肉でも切る部分と手でほぐれる部分が同居する。