Londoneri ― アプリコットジャムとクルミメレンゲの三層焼き菓子
Londoneri の特徴は、材料数よりも三つの層の対比にある。下はバターを多く含む短い食感の生地、中央は薄いジャム、上はクルミを抱き込んだ卵白の層で、どれか一つが厚過ぎると全体のまとまりが崩れる。名称は旧ユーゴスラビア地域の家庭菓子として広く見られるが、名前だけでロンドン起源を示すものではない。
底生地では冷たいバターを小麦粉にすり込んでから卵黄を加える。長くこねるのではなく、粉気が消えたところでまとめるのが要点。30分冷やすとバターが締まり、22 × 37 cm の型へ均一にのばしやすくなる。最初の175 °Cの焼成は完全に色づけるためではなく、表面の生っぽさを消して次の層を支えるための工程になる。
ジャムはアプリコットを150 gだけ薄くのばす。温かい台に広げると均一になりやすいが、量が多過ぎると切ったときに層が滑る。卵白はソフトピークまで立て、砂糖を少しずつ加えてつやを出し、細かく挽いたクルミを泡をつぶし過ぎないように混ぜ込む。表面の粗く刻んだクルミが食感の差を加える。
二回目は150 °Cに下げる。目標はパブロバのような湿った中心ではなく、表面が乾き、端を切ってもゆるい卵白の泡が残らない状態。焼き上がり直後はジャムもメレンゲも動きやすいため、30分冷ましてから24本に切る。冷めることで三層の境界がはっきりし、底はほろり、中央はしっとり、上は薄く乾いた食感になる。
前日に焼くこともできるが、完全に冷えてから覆う。温かいうちに密閉すると蒸気で上面が軟らかくなる。冷蔵した場合は、食べる分だけ少し温度を戻すとバター生地の硬さが和らぐ。