発酵生地を二度休ませ、濃いクルミフィリングを巻くセルビア式クルミロール
Štrudla sa orasima は、パンのように厚い生地へ少量の具を入れる菓子ではありません。狙うのは、やわらかな発酵生地とクルミの層がどちらもはっきり感じられる巻き菓子です。生地には牛乳、バター、卵を加えるが、クルミの量も十分に取り、切った断面に連続した渦を作ります。
セルビアの家庭菓子では、生地にヨーグルトを入れるもの、ベーキングパウダーを併用するもの、柑橘の皮やラムを香らせるものなど幅があります。ここでは要素を増やさず、発酵生地とクルミ、砂糖、牛乳のフィリングに絞ります。クルミそのものの香ばしさと、発酵生地の柔らかさを比較しやすい構成になります。
フィリングの水分は焼成後の層を左右します。挽いたクルミへ熱い牛乳を加えると吸水してまとまるが、流れるほど緩くすると巻く途中で押し出され、焼いた中心に湿った筋が残りやすいです。5分かけて混ぜて濃度を整え、その後5分置いて「温かいが熱くない」程度まで下げます。
生地には二つの待ち時間があります。一次発酵60分は生地全体を膨らませる時間で、成形後20分は巻いた生地の緊張をゆるめ、焼成前に少しふくらみを戻す時間です。後者を省くと、巻きが締まりすぎた状態でオーブンへ入り、表面が大きく裂けやすくなります。
焼き色だけでは中心の状態を見誤りやすいです。クルミの層が熱の入り方を変えるため、表面が十分色づいていても内側の生地が生っぽい場合があります。180℃で35分焼き、串を生地の継ぎ目に差して生のペーストが付かないことを確認します。
焼き上がり後の40分冷却も工程の一部です。温かいうちに切ると、蒸気で柔らかい生地が押しつぶされ、クルミの層がにじみます。底と中央が温かくなくなってから切れば、渦が明確で、クルミの層も崩れにくいです。