サガナキ（ギリシャチーズのフライパン炒め）

ギリシャの食卓の陽気な雰囲気を最もよく表す前菜といえば、サガナキでしょう。香り高いチーズを厚切りにし、小麦粉をまぶしてこんがりと揚げたものが、ジュージューと音を立てながらテーブルに運ばれてきます。外側はカリッとした皮のようで、中心はとろけるように温まります。一口食べると、クリーミーな酸味が口いっぱいに広がり、レモンを絞ったり、胡椒を振りかけたりすることで、さらに味わいが引き立ちます。ギリシャ各地のタベルナや家庭では、サガナキが宴の主役となることが多く、皆で分け合い、賑やかな会話を交わすムードを盛り上げます。

サガナキという名前は、実際にはそれを作るのに使われる小さな両手鍋に由来しています。この言葉はトルコ語で鍋を意味する「サハン」にギリシャ語の指小辞「アキ」がついたものです。伝統的に、サガナキは揚げても大丈夫な硬めの白い羊または山羊のチーズで作られます。人気のあるチーズとしては、ギリシャのケファログラヴィエラやケファロティリ、マケドニアのカセリなどがあります。これらのチーズは融点が高く、塩味と酸味のある風味が特徴です。ハルーミチーズや塩漬けフェタチーズを使う料理もあり、それぞれ風味が異なります。揚げたチーズは熱々で、オリーブオイルとレモン汁をかけられて提供されます。

ギリシャでは、サガナキは通常、前菜やメゼの一部として楽しまれています。食卓では、鮮やかな彩りを添えるためにレモンのくし切りを添えることがよくあります。華やかに演出したい場合は、盛り付ける直前にウーゾやブランデーを少し加える人もいます。テーブルで火をつけると、チーズは息を呑むほど美しい「燃えるチーズ」となり、しばしば「オーパ！」という掛け声が聞こえてきます（この活気あふれる伝統はギリシャ系アメリカ人のレストランで始まりました）。アテネやギリシャのタベルナでは、この劇的な演出はオプションです。多くの場合、熱々のチーズにレモンを絞り、チーズ本来の香りを際立たせます。

サガナキは材料がわずか数種類で、あっという間に作れて大満足のひと品です。オリーブとグリル野菜にピリッとした風味が加わり、絶妙なアクセントになります。温かいピタパンやカリカリのパンに、とろけるチーズとオリーブオイルを絡めてお召し上がりください。ギリシャと結び付けられがちですが、チーズを揚げるという発想はビザンチン時代にまで遡ります。サガナキは今もなお愛され、サクサクとした食感とほっとする味わい、シンプルながらも力強い風味が魅力です。作るのも食べるのも楽しい、ありふれたチーズがたまらないご馳走に変身します。